2012年01月09日

【足立社長列伝】 第10回 株式会社ユニーク 畝邦弘会長 <前編>

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▼ ヤスリをはじめとする製品企画に特化した少人数体制

ヤスリの専門サイト、その名も「ヤスリ.jp」という
一度聞いたら忘れられないネーミングのサイトを運営する株式会社ユニーク

「うちに来たらダイヤのヤスリをあげるよ」
という畝邦弘(うね くにひろ)会長の言葉に誘われて早速取材に伺った。

「一般の人にもっとヤスリを使ってもらうのが我々の狙いなんだけど、
 ヤスリ.jpを立ち上げても注文の多くは専門家からだからね。
 そこで、素人が使えるようなヤスリを作ろうと思って。
 作ったのはシャープナーと言って、ダイヤモンドの粒子を使ったもの。
 これはOEMで他所に供給してるの。ナイフとか包丁とか爪とか、何でも削れちゃう。
 ダイヤの粒子だからこれで削れないモノはない」。


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手近にあったヤスリを持って少し馴れないポーズの畝会長。

ダイヤモンドのヤスリとは非常にロマンのある響きである。

畝会長はヤスリ職人だった父親の後を継いでこの世界に入り、
若い頃はヤスリの企画営業として全国を駆け回ったという。

コンビニ弁当に入っているしょう油袋などで見られるマジックカット。
あのマジックカット用のフィルムにはあらかじめ小さい傷が入っているのだが、
その傷を付けるためのヤスリも製作した実績を持っている。


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これが我々がいただいたダイヤモンドの粒子を使ったヤスリ。決してバターナイフではない。
畝会長、こんなたいそうなものをいただきありがとうございました。



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マジックカットの切り込みを入れるためのヤスリ。日々、お世話になってます。


株式会社ユニークは畝会長の息子である畝還司(うね かんじ)社長とともに2000年1月に設立した。

そのユニークが運営するヤスリ.jpにはこのダイヤのヤスリ以外にも、
海外メーカーの製品をはじめとしたさまざまな種類のヤスリが紹介されている。

「まあでも、売れなきゃしょうがないんだよね。
 私も今はヤスリの製造メーカーじゃない。
 知恵を絞って今まで企画開発でやってきたことを活かして、
 金型を作って工場に委託して作ってもらう。
 私がこういうものを作ってほしいと言って、アイデアを出して
 金型の設計やデザインを作ってもらう。
 だからこれだけの少人数でできるんだよね。うちの会社は息子も入れて4名だよ」。

製品のアイデアを出して、製作は外部にアウトソーシングする。
つまり、ユニークはヤスリのディレクションに特化した企業である。

そして、ヤスリ作りのノウハウを活かして生まれた新商品が、
身体のツボを効果的に刺激できる器具、その名も「ツボ押し健康Eリング」である。

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現物がなかったのでチラシを紹介。裏面によると畝会長は環境と福祉に興味があるらしい(ここ重要)。

「これを手に持ってツボを刺激するの。まだ売ってはいないけど開発してるわけ。
 これはまさしく家庭に向けて作ったもの。これからはヤスリだけじゃダメだと。
 ヤスリはもう晩の商売だからね。斜陽業界。だからこの健康リングを開発したわけ。
 もう一個は太陽光をやってみようとね」。

父親の代からヤスリ職人と聞いて
職人気質なヤスリ一筋の人生なのかと思い込んでいた身としては、
まさに衝撃的な一言がインタビュー早々に放たれた。

畝会長によれば現在、国内の大手ヤスリメーカーは5社ほどだという。
ヤスリだけに固執していてはダメになると、畝会長は太陽光に目を付けた。
そして、すでにユニーク本社の屋根には24枚の太陽光パネルが設置済みとのことであった。


▼ ヤスリ一筋からの転身

「みんなで話し合っていかにして太陽光を使った隙間産業を生み出すか。
 太陽光とLEDとか、太陽光で飯を炊いてみるとか。
 太陽光パネルもいろいろ出てるからニッチな産業ができないか。
 斜陽産業でもいいんですよ。それを何と結びつけるかが大切。
 実験装置としてね、今24枚のパネルをこの建物の屋根に置いてるの。
 何kw発電して、何kw使ってるのかリアルタイムでモニターで見られる。
 電気を消せばダイレクトに反映されるから、電化製品がどれだけ電気を使ってるかがわかる」。


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太陽光発電による発電量と消費電力がわかるパネル。

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ユニーク本社の屋上。わかりづらいのは承知の上で撮影しました。


「若い人が一緒に参加してやっていったらどうかなと思うんだよね。我々はもう年だから。
 うちの親父が亡くなった年齢まで、俺はあと4年。その間に何ができるか。
 生きても楽しみがないなら死んだ方がマシなんだよ。
 生きて自分の楽しみを探すんならいいけどね。

 私もピースボートに2回乗って、92ヶ国くらいまわりましたけどね。
 800人〜1000人くらい乗ってる船で数ヶ月間。
 そのうち外国人が200〜300人くらいかな。
 若い人の割合が40%くらいだから非常に活力があるんですよ。
 船内新聞が毎日発行されたり。夜遅くまで印刷して大変。
 船を下りたら貧しい国を回って学校訪問したり。まあ、要するに海外との交流ですよ」。

突如飛び出したピースボートにまつわるエピソード。
若者が乗り込むイメージの強いピースボートだが、畝会長が乗船したのは60を過ぎてから。
そして、驚くことに今年の年末には3度目の乗船を予定している。

「初めて乗ったのは今から5、6年前で、その次が今から1年くらい前かな。
 今年の末にもう一度乗ろうかなと。
 船の中は英会話の先生だけで30人くらいいるけど、スペイン語になると2〜3人くらい。
 乗船者の9割が日本人。そのうち女性が6割くらいかな。
 20代が40%くらいで、30〜50代はほとんどいない。あとは60〜70代がメイン。

 この前もアンケートでやってたけど、日本では海外に出たい若者の割合が2%しかない。
 それが韓国になるとみんな出て行く。
 日本人は海外で何かをやって錦を飾りたいという思いだけど、
 韓国人はそこに骨を埋める覚悟でいるから。性根が違うんだろうね」。

世界を見てきた経験から、日本の若者への苦言が飛び出す。

日本人と韓国人の意識の差。
それは、日本で活躍するK-POPアイドルの大半が日本語を話せるという事実にも
端的に表れているように思える。

そんな理由から畝会長は現在、英会話の教育にも関心があるという。
近所に住むNY出身のロバートさんとあれこれミーティングを重ね、
近いうちに舎人地区で英会話学校を開設予定である。


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ニコルソン、フェロー、パスカル、ミッチェル。海外のヤスリメーカーは名前もかっこいい。


後編予告:福祉施設の構想から自作曲の披露まで、ついに畝会長の本領発揮!      
      
    
松山 貴之 [PROFILE]
   
   
   
posted by ジャンク派 at 19:44 | Comment(1) | 【足立社長列伝】

2012年01月16日

【足立社長列伝】 第10回 株式会社ユニーク 畝邦弘会長 <後編>

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▼ ロバートさんと二人三脚で進める英会話教室

「この近くにいるNY出身のロバートさんと、
 英語をいかに皆さんに教えようかいろいろ思案してるんだけど。
 今度、舎人(とねり)で英語を教えることになって、
 教えるにもどうやって教えるのがいいのか。
 日本では小学校5年生から英語が必修だけど、それを幼稚園から教えるとかね。
 今から2人で探っていきたいなと話してるんです。
 まだ、ここ2ヶ月くらい前にあったばかりだから」。

ヤスリ事業に止まらない新規ビジネスの立ち上げにどこまでも積極的な畝会長である。
事務所に掲げられた看板を見ると「困ったことを解決して喜ばれる会社」というキャッチが記されていた。

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気軽なご相談待っています。


「なんせ私も年だから、あれもこれもやっても中途半端になってしまうんだよね(笑)。
 こうやっていろいろ新しいビジネスを考えてるけど、その9割が失敗だよ」。


▼ 借金返済のため3年間働き続けた日々

ここで、畝会長の若かりし頃の経歴を振り返ってみたい。
畝会長は以前、雑誌「東京グラフィティ」の「おじいちゃんの一代記」というコーナーで
紹介されたこともあるので、その記事を元に過酷な体験談を紹介する。

畝会長の両親は大正8年に広島でヤスリ製造業を創業。
畝会長は裕福な幼少期を過ごすが、小一で原爆を体験している。
それから終戦後の食糧難の時代を経験するも、大学に進むため進学校に入学。
しかし、家業のヤスリ会社が倒産してしまう。
ある日、家に戻るとタンスに「差し押さえ」の赤紙が貼られていたという。
というわけで大学進学をあきらめて借金返済のため
家庭教師やそろばん塾の講師などをして、3年間朝から晩まで働き詰めの日々を過ごす。

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こちらが掲載された東京グラフィティのページ。
1ヶ所思いっきり誤植があって、50歳とするべきところが80歳と記されてしまっている。


その後、借金を返済して近畿大学の1期生として入学。
卒業後には香港やマレーシアのユースホステルをまわり、見聞を広めた。
現在でもピースボートに乗船する畝会長の原点はここにあるのだろう。

一般企業では定年を迎える年になっても、囲碁を通じた国際交流、
核兵器廃絶のための「原爆の会」での活動、介護や遺産相続などの勉強会など、
なお精力的に活動し続けている。

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囲碁による台湾との文化交流の記念写真。


▼ 溢れ出る新アイデアと経営哲学

そして、ここで畝会長の口からまたも現在取組中の新規ビジネスの話が飛び出した。

「自閉症とダウン症のためのケア施設を4月頃に竹の塚に作る予定なんだ。
 そこで7人の面倒を見るの。障がいを抱えた人たちに、どう有意義に生きていただくか。

 それと同時に私は老人ホーム的なものをやっていきたいと考えてる。
 今の老人がなぜお金を使わないのか。それは、将来に不安を感じているから。
 みんな少しくらいのお金は持ってるけど、それが使えないのはなにかあると大変だから。
 1人で孤独死の心配もあるけど息子に面倒を見てらうのも難しい。
 そうなるとやっぱり自分のことは自分でやらなくてはと思ってしまう。
 だからそこを補助してくれる制度があれば安心して老後を過ごせる。

 群馬の高崎には「新生の園」という施設があって、
 そこは500人くらいの入居者に対して介護する人は300人くらいいるの。
 森みたいなところにあってね。
 あそこを見れば、日本の介護がわかると言われるくらいの有名どころ。
 老人ホームと名付けたのもはそこだと言うくらいの老舗。
 私もヤスリを売る必要はあるけど、今はヤスリだけをやっていてはしょうがないからね」。

なにをやるにも少数精鋭を貫く畝会長。
自社には必要最低限の機能を残し、必要に応じて外部のパートナーと連携することで事業を進めていく。

日本の経済成長が約束されていた時代は、誰もがその大きいレールに乗ることができた。
しかし、国内の経済成長が終わった現在では誰もが乗れるレールはすでに無い。

だから、個々が自分だけのレールを作り出す(=リスクを取る)必要がある。
今はすでに「リスクを取ろうとせず動かないこと」こそが最大のリスクになっている時代である。
戦後から激動の時代をくぐり抜けてきた畝会長は、経営者として時代感覚を実に的確に捉えている。

「自分がすべてやってたら、これだけあちこちできないし。
 たくさんの人の力を借りてやっているわけですよ。

 大手みたいに体力がないとすべて自前でまかなうことはできない。
 私は常々1%を集めて100%にしよう≠ニいう考え方を持っている。
 1ずつ積み重ねて100に近づいていこうと。
 でも、口で言ってもそう簡単ではないよ。気のあった者同士でやる以外無いからね」。

筆者は足立区出身であるが、周囲の人間を見ると
足立区の学校を出て、足立区で就職して、足立区で結婚して、
足立区に住み続けるタイプが非常に多いことに気づく。

「郷土愛」などという言葉とはまた違った、
人生すべてを地元で過ごす地元主義化とでも言えばいいのか。

筆者の周囲の人間だけを見れば基本的に
「足立区ですべてそろうから動く必要がない」といった考えの層が多い印象を受ける。
しかし、畝会長のまわりはどうやら違うらしい。

「まあ、私も自分が多少は変わってると思うけど。
 社名にユニークって付けるくらいだから変人が好きなの(笑)。
 アイデアがどんどん出ちゃって困るんだよ。

 足立区は新しいことをやる仲間を探すには垣根が低いと思うね。
 物好きが多いのか知らないけど。

 ものごとを進めるには人数が多くなりすぎると難しい。
 ハッキリ言って5人くらいでいいな。
 3人〜5人くらいのがまとまりがいい。

 今でも定期的に集まって太陽光なら太陽光のことばっかり勉強して、
 自然エネルギーで何ができるのかを考えてる」。

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愛車をバックに、夕日を浴びた畝会長の雄姿。


▼ 作詞作曲家・畝邦弘

「若い人も大変だと思う。年金が無くなって、雇用をどう守っていくか。
 幸福論になると幸福≠フ定義がその時代で変わってくる。
 経済的に繁栄しているとか、いつでも好きなものが食べられるとか、家族が一致団結しているとか。

 ブータンも幸せの国と言われているけど、あそことヨーロッパの人の考える幸せは尺度が違う。
 ドイツに行ったことがあるけど、ドイツ人は質素だな。
 朝から食べるものが少ないし、ドイツ人は質実剛健だなと。

 日本は食べる物も着る物も充分にあって、何がほしいのかなと。
 金があれば一番手っ取り早くなんでも買えるから希望する人が多いでしょうけど。
 それ以外になにがあるか、満足度をなにに求めるか。
 毎日精一杯働くことが満足なのか、腹一杯食べることが満足なのか」。

時代によって各国によって異なる幸せの定義。それを追求する畝会長の人生哲学。

「地球はひとつになると思う。私が作った歌があってね。聴いてほしいんだ」。
それでは、畝会長のオンステージ!


喜びの種をまく YouTube動画

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驚くなかれ、これすべてが畝会長の自作曲。お問い合わせは株式会社ユニーク(03-5839-3558)まで。

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心の中のフロントグラスは月日でくもるぞ!

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人は苦と戦って大成する。楽に安んじて失敗例が多い。


株式会社ユニーク
東京都足立区西伊興4-2-18
03-5839-3558
     
      
    
松山 貴之 [PROFILE]
   
   
   
posted by ジャンク派 at 21:43 | Comment(0) | 【足立社長列伝】